A folding sawhorse created from Tamo ash modeled after a one-of-a-kind English antique at the request of an art director.
依頼主は、古いもの好きのアートディレクターさん。 骨董市で手に入れたというイギリス製のアンティークのソーホースをオマージュして、新材で同じようにシャープで、使いやすく、持ち運びしやすい折りたたみ式のソーホースを造って欲しいというご依頼。
これまでに造ったことのない製品で、どのような構造で、どのようなシーンで使われるものなのかも正確には掴めなかった。また、使用時と折りたたんだ時の形状が全く違うこともあり、第一印象では、正直かなり難題だと感じた。
まず、素材選びでは、部材の薄さや要望されるシャープなフォルムに加え、耐荷重も必要になるため、目の細かく狂いの少ないタモ材が適していると考えた。さらに、設計するにあたって、見本となるアンティーク品を細かく丁寧に分析した。コンパクトにたためて、使うときにはグラつかない安定感と耐荷重を満たすように、木組の角度や構造をはじめジョイント金物の形状や位置を繰り返し調整した。
今回大きなポイントになったのは、ジョイント金物と、その配置。まず、金物は既製品にはなく、付き合いのある金物職人に全てオーダーでつくってもらうことにした。配置については、組立時と収納時の形状が全く違うため、ジョイント金物の位置を何度も調整する必要があった。少しのズレで安定性を欠き、時には折り畳めないこともあるので、慎重に調整した。何度も試作する中で、材料を吟味していてもタモ材にソリが出たり、硬い材料がゆえに高い加工技術が必要となるなど、調整の難しさがあった。ひとつ一つの不具合を丁寧に解消し、ようやく完成した。
お客様の反応はとても良かった。特に、組み立て時の安定感に感心されていた。ただ、コスト面ではもう少し改善できる余地があると感じている。特に金物を使わず、仕口加工によるモノづくりを得意としてきた当社にとっては、金物を使用した製品は新たな可能性だと感じた。今後も、少しずつ新しいモノづくりを進めていく良い機会になった。 モノづくりは楽しいと改めて感じた。
ソーホース